“自計化”とは、事業所が自社で会計処理を行うことです。決算や申告まで自社で行うかどうかは別として、日常の伝票処理や毎月の元帳や試算表(いわゆる月次決算書)などの作成を自社で行います。
今では、個人事業向けであれば数千円、法人向けでも数万円で会計ソフトが市販されており、コンピュータを使用していない会社もほとんどありません。また、今の会計ソフトは、経理や簿記に不慣れな方でも会計処理ができるようになっています。「初心者だから会計処理は無理」「簿記2級以上の人がいないとできない」という時代ではないのです!
もちろん、専門家や専門業者に外注依頼するメリットもありますが、ここでは“自計化のメリット”について考えてみましょう。
1.正確な資料が出せる
伝言ゲームではありませんが、間に人が入るほど情報は正確に伝わらなくなります。また「現場感覚」が鈍いと、情報を正確に理解することができません。外部の専門家は、“その道”での誤りはしないかもしれませんが、あなたの会社の事業や実際に行われた取引についてはあなたよりも知りません。自社用に設定(カスタマイズ)された会計ソフトさえあれば、自社での方がより正確な資料を出せる可能性が高いのです。
2.早く資料を出せる
一般に、会計処理を外注に出す場合、1ヶ月毎に資料を渡して月次の資料を出してもらうことが多いと思われます。見ていますと、例えば3月分の資料を4月初旬に提出して、3月の月次試算表をもらえるのは…、平均して1ヵ月後の5月初旬〜中旬くらいではないでしょうか?
3月の試算表を5月に見る、というのはいかにも遅すぎます!会計資料を経営判断のツールと捉えるならば、翌月の初旬には出来上がっているべきです。
また、3月に起きた取引の内容について4月になってから聞かれても、記憶があいまいになっていたりして正しく処理できなくなる可能性が高まります。実は、遅いこと、つまり時間が空いてしまうことは正確性にも悪い影響を与えます。
3.わかりやすい資料に加工できる
「あなたの会社では、なぜ会計処理をするのですか?」「決算・申告をしなければならないからです」これが多くの事業所の本音でしょう。
事業を営んでいるからには、売上・経費を計算し、決算書・申告書を作成・提出して納税しなければなりません。そのために会計処理は必須の作業です。しかし、それだけでは実にもったいない!
決算書には、その会社が実行したこと、しなかったことが数字として表れます。目標を持ち、計画を立てれば実績と計画がどれぐらい、どの点で違ってきているのかをチェックし、修正点を見つけ出すことができます。また、部門別・商品別の損益や前期比較、経営分析などの資料も経営者が見たいもの、見てわかりやすいものを出すべきです。
決算書をこのように活用するには、自社で見やすい、わかりやすい資料に加工できる方が便利です。そのためには会計ソフトを活用し、自社の経営資料は自社で考えて工夫できるようにする方がよいのです。
4.コスト・生産性
独立・創業したばかりの事業所の場合を考えてみましょう。単純に、コストはできるだけ抑えたいところですし、そうは言っても事業の成績もまめにチェックしたいところです。個人事業のレベルであれば、会計処理の量もそう多くはありませんし、内容もそう複雑ではありません。毎月数時間を確保して会計処理の時間に当てる、あるいは例えば奥さんなど家族に手伝ってもらうようにできれば、毎月の外注経費はかかりません。
また、ある程度大きくなって従業員を抱えているような事業所でも、自社で処理する方が生産性の点でメリットがある場合も多いですし、規模が大きいほど会計・財務部門を自社内に置き、スピーディーな意思決定ができる体制をとっているものです。
5.専門家のより高度な活用
会計処理をお願いする先として一番多いのが、税理士さんや会計士さんでしょう。しかし、単なる会計処理(いわゆる記帳代行)をメイン業務として依頼し、お金を払うのはもったいないと思いませんか?もうそんな時代ではありませんし、先生方も十分わかっておられます。
自社でできる作業は安いソフトを使って行い、中味のチェックやより高度なアドバイスに対してお金を払う方が費用対効果も高まります。また、このように専門家を活用すれば、翌月の初旬に月次試算表を出すことも十分可能になります。

